高齢化社会に伴い、近年、ロコモティブシンドロームという高齢者の移動能力の低下による要介護につながる状態が注目されています。要介護、要支援の認定を受ける原因として、認知症や脳血管障害を上回り、第1位となっています。
その原因として挙げられるのが、骨粗しょう症、骨折、変形性関節症、脊柱管狭窄症などです。骨粗しょう症の早期発見、早期治療によってもロコモティブシンドロームのリスクを減らすことができる可能性があります。
骨粗しょう症とは、骨の密度が減り、骨が弱くなるために骨折しやすくなる病気です。女性は閉経後に女性ホルモンが減り、骨粗しょう症を発症しやすくなります。
60歳代の女性の3人に1人、70代では2人に1人が骨粗しょう症であると言われています。中年以降の女性では痛みなどの症状がなくても骨粗しょう症が進行している場合がありますので、一度検査をすることをお勧めします。
骨粗しょう症になると、
図のような箇所が骨折しやすくなります。
特に背骨(脊椎:胸椎、腰椎)または足の付け根(大腿骨頸部)を骨折すると以前と同じように歩けなくなる場合や、寝たきりになってしまう可能性があります。
70歳以上では大腿骨頸部骨折の発症率が急激に上がります。大腿骨頸部骨折を起こした患者さんは骨折のない方と比べ、その後の余命が短くなることが知られています。
骨粗しょう症になると、気付かないうちに背骨が骨折してしまっていることがあります。以前腰痛があったが、そのうちに治っていたという場合や背が縮んできたが、歳のせいかと思っていたという場合に病院でレントゲンを撮ると背骨が骨折(圧迫骨折)している場合があります。
圧迫骨折がある場合は骨粗しょう症と診断され、治療開始が必要です。放っておくと次々と違う場所も骨折して上述の大腿骨頸部骨折と同様にその後の余命が短くなります。
骨粗しょう症の診断と治療の評価には骨密度の測定が必要です。
骨密度の正確な測定には微量なX線を用いた安全なDEXA(デキサ)法を用います。
当院では、米国ホロジック社製の測定装置を用いており、短時間(10~30秒)で全身の正確な骨密度測定が可能です。
以下のどれかの基準に当てはまる場合には骨粗しょう症と診断されます。
※骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインに基づく
骨粗しょう症と診断された場合には、食事療法や運動療法と併せて、薬物療法が必要です。
当院で治療に用いる薬の種類は主に以下の4種類です。
患者さんの年齢や合併症、投与方法や投与期間に対するご希望などによって薬剤を選択しています。詳しくは医師にお尋ねください。